近代哲学再考
「ほんとう」とは何か・自由論
●内容紹介
【「自由」に苦しむ私たちに示される最も大きな解答】現代哲学は「自由の自覚=“ほんとう”への欲望」を省みず、混迷する社会に断片的な解答しか与えることができない「価値相対主義」に堕ちている。著者は、忘れられた「モダン」の突出し孤立した営みにおける達成に、来るべき「自由」の道をみる。 本書は、現代社会の政治、法、権力、倫理などの諸概念(総じて、人間と社会の関係概念)に「モダン」を架橋する真に創造的な画期的論考。「日本におけるポスト・ポストモダンの本格的な到来を告げる書物」と橋爪大三郎氏に評された『言語的思考へ』(径書房刊)から約2年ぶりに著者が放つ「意味と価値」の本質論!
●目次
◆はじめに◆「存在の謎」と「言語の謎」────哲学とは何か 哲学とは何か 哲学の「謎」────アポリアとパラドクス 哲学の本質────「普遍洞察性」について 「存在の謎」と「言語の謎」◆認識問題と観念論────近代哲学の根本問題 反=近代哲学 近代哲学と「観念論」 近代社会の原理────ホッブズとルソー◆「絶対的なほんとう」をめぐって────近代精神の探求 カント────自由と道徳 反=ヘーゲル────コジェーヴと「歴史の終焉」 ヘーゲルと近代精神 「道徳的意識」とカント 「良心」とヘーゲル 「ほんとう」とは何か────ヘーゲル対ハイデガー◆絶対自由と絶対平等────「自由」のアポリア 近代社会の矛盾 市民社会と「法」の本質 「絶対自由」と「絶対平等」 「自由」の本質◆希望の原理────「近代」の可能性と不可能性 現代思想のアポリア 希望の原理
●前書きなど
この本の中心的テーマは二つある。一つは近代の人間の「ほんとう」への欲望がどのような諸形態をとることになるのかという問題。もう一つは、この「ほんとう」への欲望が近代国家がぶつかった困難の前で挫折し、イデオロギー的思考と相対主義的アイロニズムの間で出口を見失って揺れ動いているという事態を、いかに克服するかという問題である。(「はじめに」より)
●版元から一言
●「自由な社会」の実現は、じつはけっして本質的な意味での人間的自由を実現しないのではないだろうか。むしろ社会的な自由の解放が進展するほど、人間は新しい不自由と抑圧の中に投げ込まれるのではなかろうか──この現代社会にあらわれた「自由」という難問に、著者は本書においてひとつの重要な解答を示しています。
●著者プロフィール
竹田 青嗣
1947年、大阪生まれ。哲学者。明治学院大学国際学部教授。『自分を知るための哲学入門』『現象学入門』『世界という背理』『エロスの世界像』『言語的思考へ』など著書多数。現象学をベースに、現代人の生を肯定的にとらえる「欲望論」を展開している。