• お父さん、怒鳴らないで

お父さん、怒鳴らないで

殴られるより苦しいよ!

  • 毎日新聞生活家庭部[編]
  • 定価1,500円+税
  • 四六判 176ページ 並製
  • ISBN 4-7705-0183-8 C0036
  • 奥付の初版発行年月●2003年11月

●内容紹介

ささいなことで大声を出し、家族を威圧するお父さん。「バカヤロー、テメェー」は、やめてください。

──ある日、毎日新聞に一通の投書が掲載された。怒鳴る夫に苦しむ妻からの訴えだった。すると驚いたことに、その投書に300通もの手紙が寄せられたのだ。
「私も怒鳴られている」「子どものころから怒鳴られ続けて、いまでも怒鳴り声を聞くと苦しい」「元校長の夫に40年間、怒鳴られ続けた」「私の人生を返してほしい」「死んでくれたらと思う」……。それはまさに妻や子どもの、悲痛な叫びだった。

「僕は妻子に手をあげたことはありません」と言って胸を張るお父さん。あなたは怒鳴っていませんか? 怒鳴って妻子を怯えさせ、自分の考えを押しつけていませんか?
怒鳴られると、心がぼろぼろになるのです。みじめなのです。生きる力を奪われるのです。

──DV防止法が施行され、家庭内暴力は取り締まりの対象となった。だが、怒鳴ることを取り締まる法律はない。「暴力を振るわれるよりマシでしょう」と、相談員はこともなげに言う。怒鳴られ続ける苦しみ、精神的虐待が、どれほどの苦しみを与えるのかを理解していないのだ。しかし、虐待を受けた多くの人が、暴力行為そのものよりも、浴びせられた言葉、見せつけられた態度で、より深く傷ついたと証言している。ことに女性は、言葉によって癒しようのない深い傷を負う場合が多いのだ。

安らぎの場であるはずの家庭を、緊張と不安で満たし、ストレスを与える場にしているお父さん。怒鳴られ続けた人々の、苦しみの声を聞いてください。そして、二度と怒鳴らないでください。あなたの「怒鳴り」は暴力です。精神的虐待なのです。

●版元から一言
2003年5月、毎日新聞に掲載された「怒鳴らないで」という一通の投書をきっかけに、300通あまりもの手紙が寄せられた。そこには、妻や子どもの悲痛な叫び──安らぎの場であるはずの家庭を、緊張と不安で満たす怒鳴る夫・怒鳴る父親の姿──が綴られていた。本書には、寄せられた投書の中から99編を選んで収録。怒鳴られ続けた人々の苦しみの声には、人生が凝縮している。

●目次

◆はじめに
◆本文
  1. 「怒鳴らないで」・・・・毎日心の中で泣いています
  2. 「怒鳴らないで」を読んで・・・・怒鳴る夫の言い分
  3. 「怒鳴る夫の言い分」を読んで・・・・傷つき疲れた
  4. 怒鳴る人も気の毒・・・・感情をなくした母
  5. 男だけが悪いのか・・・・夫への不満は贅沢
  6. 何十年も怒鳴られ続けた・・・・貝のように口をつぐんで
  7. 離婚した・・・・心への拷問です
  8. 離婚しなかった・・・・自分で自分をはげまして
  9. 離婚したい、でも・・・・悲しい意地
  10. 怒鳴る父を持って・・・・パパがママを殺した
  11. 連鎖に悩む・・・・父は反面教師
  12. 怒鳴られ続けて・・・・心に残る深い傷
  13. 怒鳴る義父・叔父・義兄・・・・いまだに腹が立つ
  14. どうして語り合えないの?・・・・わかっていない
  15. 夫は「マニピュレーター」・・・・自分が悪いと思い込んだ
  16. もう小さくならない・・・・ついに私も怒鳴った
  17. 怒鳴りの虫を制したい・・・・夫が変わった
◆専門家に聞く
  1.  ○DV(ドメスティック・バイオレンス)問題に詳しい
  2.   お茶の水女子大教授 戒能民江さん
  3.  ○夫婦間のコミュニケーションに詳しい
  4.   精神科医 針間克己さん
◆あとがき
  1.  ○「女の気持ち」担当者の感想
  2.   毎日新聞生活家庭部長 臼井研一
◆配偶者暴力相談支援センター一覧

●著者プロフィール

毎日新聞生活家庭部
毎日新聞生活家庭欄のコラム「女の気持ち」は、1952年にはじまり約50年続いている人気コラム。600字の投書に人生の喜怒哀楽が凝縮している。本書には、そのコラムに掲載された「怒鳴らないで」という投書をきっかけにして寄せられた300通あまりの投書の中から、99編を選んで収録した。