お父さん、怒鳴らないで
殴られるより苦しいよ!
●内容紹介
ささいなことで大声を出し、家族を威圧するお父さん。「バカヤロー、テメェー」は、やめてください。
──ある日、毎日新聞に一通の投書が掲載された。怒鳴る夫に苦しむ妻からの訴えだった。すると驚いたことに、その投書に300通もの手紙が寄せられたのだ。
「私も怒鳴られている」「子どものころから怒鳴られ続けて、いまでも怒鳴り声を聞くと苦しい」「元校長の夫に40年間、怒鳴られ続けた」「私の人生を返してほしい」「死んでくれたらと思う」……。それはまさに妻や子どもの、悲痛な叫びだった。
「僕は妻子に手をあげたことはありません」と言って胸を張るお父さん。あなたは怒鳴っていませんか? 怒鳴って妻子を怯えさせ、自分の考えを押しつけていませんか?
怒鳴られると、心がぼろぼろになるのです。みじめなのです。生きる力を奪われるのです。
──DV防止法が施行され、家庭内暴力は取り締まりの対象となった。だが、怒鳴ることを取り締まる法律はない。「暴力を振るわれるよりマシでしょう」と、相談員はこともなげに言う。怒鳴られ続ける苦しみ、精神的虐待が、どれほどの苦しみを与えるのかを理解していないのだ。しかし、虐待を受けた多くの人が、暴力行為そのものよりも、浴びせられた言葉、見せつけられた態度で、より深く傷ついたと証言している。ことに女性は、言葉によって癒しようのない深い傷を負う場合が多いのだ。
安らぎの場であるはずの家庭を、緊張と不安で満たし、ストレスを与える場にしているお父さん。怒鳴られ続けた人々の、苦しみの声を聞いてください。そして、二度と怒鳴らないでください。あなたの「怒鳴り」は暴力です。精神的虐待なのです。
●版元から一言
2003年5月、毎日新聞に掲載された「怒鳴らないで」という一通の投書をきっかけに、300通あまりもの手紙が寄せられた。そこには、妻や子どもの悲痛な叫び──安らぎの場であるはずの家庭を、緊張と不安で満たす怒鳴る夫・怒鳴る父親の姿──が綴られていた。本書には、寄せられた投書の中から99編を選んで収録。怒鳴られ続けた人々の苦しみの声には、人生が凝縮している。
●目次
◆はじめに
◆本文
- 「怒鳴らないで」・・・・毎日心の中で泣いています
- 「怒鳴らないで」を読んで・・・・怒鳴る夫の言い分
- 「怒鳴る夫の言い分」を読んで・・・・傷つき疲れた
- 怒鳴る人も気の毒・・・・感情をなくした母
- 男だけが悪いのか・・・・夫への不満は贅沢
- 何十年も怒鳴られ続けた・・・・貝のように口をつぐんで
- 離婚した・・・・心への拷問です
- 離婚しなかった・・・・自分で自分をはげまして
- 離婚したい、でも・・・・悲しい意地
- 怒鳴る父を持って・・・・パパがママを殺した
- 連鎖に悩む・・・・父は反面教師
- 怒鳴られ続けて・・・・心に残る深い傷
- 怒鳴る義父・叔父・義兄・・・・いまだに腹が立つ
- どうして語り合えないの?・・・・わかっていない
- 夫は「マニピュレーター」・・・・自分が悪いと思い込んだ
- もう小さくならない・・・・ついに私も怒鳴った
- 怒鳴りの虫を制したい・・・・夫が変わった
◆専門家に聞く
- ○DV(ドメスティック・バイオレンス)問題に詳しい
- お茶の水女子大教授 戒能民江さん
- ○夫婦間のコミュニケーションに詳しい
- 精神科医 針間克己さん
◆あとがき
- ○「女の気持ち」担当者の感想
- 毎日新聞生活家庭部長 臼井研一
◆配偶者暴力相談支援センター一覧
●著者プロフィール
毎日新聞生活家庭部
毎日新聞生活家庭欄のコラム「女の気持ち」は、1952年にはじまり約50年続いている人気コラム。600字の投書に人生の喜怒哀楽が凝縮している。本書には、そのコラムに掲載された「怒鳴らないで」という投書をきっかけにして寄せられた300通あまりの投書の中から、99編を選んで収録した。